エトランジエ

一杯の珈琲と一本の煙草とカナビスと

自分が誰だかわからなくなってきた

毎日実家で起きて、

顔を洗って、

コーヒーを飲み、

洗濯掃除諸々を済ませ、

食料品等の買い物に行き、

冷蔵庫にしまいながら前日に考えた昼食夕飯の献立を思い出し、

ストレッチをして体をほぐしてから、

台所で家族分のご飯を料理し、

少し落ち着いた午後にやりたいことをやり、

風呂を沸かし、

洗濯物を畳み、

夕飯の準備をし、

何か手伝いたそうにソワソワしてくれている妹に少しのお願いをしつつ、

家族一緒に夕飯を食べたら、

食器を洗い、

ビールを飲み、

酔っぱらった頭で考え事をして、

ベッドに入ってケータイをいじり、

寝落ちして、

 

気付いたらまた朝になっている。

 

たまに手作りのデザートやパンを作る。

 

現在は実質無職なので親のすねかじりだ。

 

在宅だの出社だので話題の尽きない同世代を見ると非常に情けなくなる。

 

現在猛威をふるっている新型の疫病のせいで将来の方向性が見え辛くなり、先月まで手にしていたように見えた可能性が燃えて失くなったような気がするからだ。

 

いや、そもそも方向性可能性云々というのは今までの錯覚だったかもしれない。

 

ともあれそんな気持ちをごまかすため、フランスに研究しに戻ってからの肥やしになりそうなことをやらねばと焦る。

 

論文執筆だって今のうちにやらねばならないし、普段研究室に吸い取られている時間を使って他分野についての勉強もできるし。

 

ただ実家にいると長くまとまった時間が取れないせいか集中力に欠ける。

 

そもそも今研究に関連した何かをやってもすぐにはお金にならないではないか、フランスのアパートの家賃やらのために今すぐ欲しいのに。

 

などと言い訳しながら日々生きているのに辟易してきた。

 

論文執筆、数冊読了というゴールはあるので日々小さい目標を立てよう、仕方ない。

 

落ち込んで物思いにふけ続けても、周りの状況は勝手に良くなってくれないんだ。

 

悲劇のヒロインになるのは諦めた。

 

ヒビの入ったアイデンティティの欠片が刺さって、心が泣いている。